人口減少、高齢化、少子化、都市部への人口集中、過疎化、人間関係の希薄化は、いまや日本全国共通の課題です。
たとえ人口が多い都市部や地方でも、高齢化や地域への関心の低さなどが要因となり、様々な課題・問題に対して臨機応変かつ柔軟に対応できる人材、つまり「動ける人」は、これからどんどん減っていくと考えられます。
「動ける人」が減り続ければ、今よりもっと広範囲に渡って、多くの物事が終わったり無くなったりしてしまいます。
現に、地域における人の集まりや施設などの縮小・閉鎖、祭りや年中行事など古くから引き継がれてきた伝統文化の消滅などは、日本の随所で見受けられます。
これらは「いつか起こること」ではなく、もうすでに始まっています。
そのように、人や物が無くなっていけば、住民の負担は偏り、地域の機能は低下し、その社会を支える福祉や医療をはじめ、さまざまなサービスや枠組みが破綻していくことは目に見えています。
しかし、そういった見通しが具体的にイメージできないまま、「大変だ」「何かしなければ」という言葉だけが独り歩きしていないでしょうか。
「動ける人」が充分にいた頃のままの枠組みや理論を、「動ける人」が減ってしまった状況に当てはめようとしても、無理があります。
また、「個々の動ける人」が地域の課題に取り組もうとしても、そのアクションを活かせる地理的な範囲や分野の制限に足止めされてしまったり、単独ではパワーが足りずに足踏みしてしまったりするケースもありがちです。
本腰を入れて解決策を見出すには、「いま動ける人」同士が、場所や分野の枠にとらわれず縦横無尽に「つながって」情報を共有し、多種多様な問題にフィットするための、具体的な行動への道筋を立てる必要があります。
その実例に私たちは触れてきました。宮崎県の口蹄疫や熊本県の地震などの災害において、「動ける人」が自らの意志で「つながって」行動し、共に助け合ってきた姿は記憶に新しいところです。
災害のような突発的で甚大な問題であれ、身の回りで日々起こっている諸々の問題であれ、どちらも社会の存続を左右する、「くらし」と「いのち」にかかわる問題であることに変わりはありません。
短期間に大人数を一度に動かすことが無理だとしても、「小さなつながり」をいくつも積み重ねて連鎖させれば、住民レベルで日常的に助け合い、支え合っていけるような流れに展開できると私たちは考えます。
そうなれば、いま目の前にある問題や課題をはじめとして、これから起こり得る災害も見据えた多岐にわたる状況に即応できるような、「くらし」と「いのち」を守る新たな相互支援の形を創り出すことができるはずです。
この九州を舞台に、その仕組みを立ち上げて構築するのが「九州つなぎ隊」です。
「九州つなぎ隊」は、宮崎県「中山間盛り上げ隊」の立ち上げと8年間の運営実績を軸に、長崎県 宇久島の離島振興をはじめとして、各地の住民とともに培った経験的資産を活かしつつ、ICTによる地域コミュニテイ活性化のノウハウも応用し、これからの時代に適応した、持続可能な社会の創出を目指します。
九州つなぎ隊 立上げ準備室
初鹿野 聡 (宮崎県)
武藤 元美 (福岡県)
福井 樹夫 (長崎県)
藤村 美穂 (佐賀県)
沢畑 亨 (熊本県)
高橋 利行 (宮崎県)
NPO法人みんなのくらしターミナル 代表理事
(現・九州つなぎ隊事務局)
株式会社福岡情報ビジネスセンター 代表取締役
佐世保市職員
国立大学法人佐賀大学農学部 准教授
愛林館 館長
国立大学法人宮崎大学 准教授